2008年07月24日

安藤忠雄の「地宙船」

地下鉄の副都心線が開通して、新渋谷駅は安藤忠雄が設計して、「地宙船」が売り物になっている。
昔、中之島公会堂のコンペでアーバンエッグという球体を計画したが、それが場所を変えて実現した。

nakano_pro_02.jpg  20080724渋谷駅模型s-.jpg


建物規模が拡大すると、途端にデザインとしてはその粗雑さが目立つのが安藤の建築だが、地下鉄駅の土木的スケールにはまるで太刀打ち出来ていない。

コンセプト模型で示されている地宙船は、実際にはその残骸が体感的にはこんな筈では、というほど矮小化された形で断片的に現われる。
自然換気を狙った吹き抜けも、芸無く貧弱で、土木スケールに建築の概念を越えることなく挿入された空間は、残念な失敗だ。

20080724渋谷駅吹抜s-.jpg  193438s-.jpg  193500s-.jpg


地下鉄ではみなとみらい線や大江戸線が各駅を建築家に設計させているが、早川邦彦設計のみなとみらい駅の大吹抜や、内藤廣の馬車道駅の方が、土木と建築のスケールの差を逆手にとって、ダイナミックな空間を実現させている。

しかし東急と営団地下鉄も新渋谷駅では安藤忠雄という、話題性で元は十分取ったのだろう。

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白井晟一の書

白井晟一と言えば、親和銀行やノアビルを思い出す異端の建築家だが、その没後25年の書展が行われていた。

骨太で剛毅だが、意外と清冽で判りやすい筆使いは、良い意味での禅書を思わせる。

白井書 コピー.JPG  sho14.jpg

白井は50歳から手習いを始め、毎夜深夜から100枚を書き続け、10年経って初めて書を表に出したという。
殆ど建築に掛けるのと同等以上の情熱を、注いでいたに違いない。

号の「顧之昏元」も、いつも闇の中に佇む印象が立ち込める白井晟一に相応しい。

東京にある彼の代表作の一つだった、三原橋の親和銀行東京支店も解体されて久しいが、書の方は時代を超えて生き永らえるだろう。

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2008年07月01日

葛西臨海水族館とクリスタルビュー

近くにありながら、中々機会が無くて行きそびれる建物がある。
谷口吉生の、葛西臨海水族館とクリスタルビューはその一つだった。

葛西臨海公園のゲートの役割を果たすクリスタルビューは既に竣工後13年経っているが、その透明感溢れる清楚な姿は変わっていない。

クリスタルビューからの展望は、建物の目的の一つだが、建物を取り巻く人々を見せる事の方がより大きな目的なのは明らかだ。
無駄なディテールをそぎ落とした、白いフレームと白く塗られた躯体は、内部に存在する全ての人を美しいシルエットに置き変え、芝生に憩う人々のゆっくり流れる時間を増幅させる。

20080701クリスタルビュー外観1s-.jpg  20080701クリスタルビュー概観2s-.jpg  20080701クリスタルビュー内観s-.jpg


水族館は既に築19年だが人気を失っておらず、延べ入場者数も4000万人を越えたとか。
忙しなく流行を追い続けなければならない商業建築と違った、最も良質なモダンが19年の時間を全く感じさせないで存在している。

20080701葛西臨海水族館s-.jpg  20080701葛西臨海水族館噴水s-.jpg


大水槽の中のマグロの群れは、酸素を取り入れる為に忙しなく死ぬまで泳ぎ続けなければならない。
悠揚迫らず暗闇の中で漂っている、マンボウのような在り方もまた魚なのは、デザインと同じこと。

20080701マンボウs-.jpg
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