2008年08月28日

秋野不矩展のインド

さて、葉山館でのお目当ては秋野不矩展だった。

彼女の作品は藤森照信の「秋野不矩美術館」の建物と共に、いつかは見てみたいと思っていたが、その機会を持つ事が出来た。

何の知識も持たずに見た作品だが、25歳の時の日本画から最晩年の93歳の作品までが網羅され、巷間の評判どおりインドに関する作品が圧巻だ。

秋野不矩は54歳でインドを初めて訪れ、その後14回ものインド訪問で、その人々と大地を様々に描き続けた。
具体的だった形は歳ふるごとに形の枠を振りほどいて、雲気を表すように抽象化される。
同じ大地でも、まだ初期の「カミの泉U」に観られるような色相は徐々に夾雑物を取り払い、代赭色一色に収斂する。
「ガンガー」は91歳の時の作品で、大地に対する祈りと信じられないエネルギーが横溢している。

akino_kairou.jpg  カミの泉.jpg  ガンガー.JPG

花鳥風月や雪月花とは全く異なる、地の底から沸きあがる精神性がどの作品をも覆い尽くす。

秋野不矩は80歳頃から、世に認められ始めたといい、齢を重ねるごとに益々テーマとその表現が深まる様を観ると、まことに葉山まで脚を運んだ甲斐があったというものだ。

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神奈川県立近代美術館葉山館と葉山ビール

三浦半島の葉山に立地する海に面した美術館の一つ、神奈川県立近代美術館葉山館。

鎌倉にある坂倉順三設計の神奈川県近代美術館の姉妹館だ。
佐藤総合計画の設計でPFI方式で行われた。
建物は一見槇文彦や谷口吉生を思わせるような外観と内部空間だ。
プランと空間は奇を衒ったところの無い手堅さで、よく言えば大人の建物だが逆にいえば建物自体からは芸術に対する高揚感を増幅させることは無い。

161726s-.jpg 160707s-.jpg 160916s-.jpg


海の景観が、展示されている美術品と同等の売りのはずだが、無残な程にそれを拒否している。
主屋からは一切海を見ることは出来ず、中庭に出て初めて一色海岸が目に入る。
横須賀美術館の、熟考された海とのかかわり方とは正反対だ。
アプローチがわかりにくく、建物前面に無粋な駐車場が何の配慮も無く配置されているのも欠点だ。 

161842s-.jpg


しかし、併設されているレストランで、冷えた地場の葉山ビールを飲みながら夕陽の海を眺めるのは最高だろう。
 
20080828葉山ビールs-.jpg 


残念ながらここもお役所仕事で、横須賀美術館のレストランは21:30まで営業しているのに、葉山館は17:00でピタリと閉店してしまうので、夕陽が見れるのは冬場だけだ。
マネージャーに葉山ビールのテイストを聞いても「判りません」という信じられない答えが戻ってきた。
これでは、少し薬くさく喉越しがビターだが、飲み慣れると癖になりそうな葉山ビールの名前が泣くというものだ。

立地は完璧、ビールは合格、建物もまあ及第点、しかしそこに魂を入れるのは施設を預かる人次第だ。

posted by 遊戯人 at 23:00| Comment(2) | TrackBack(1) | 見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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