書の展覧会と言うと、江戸博の「北京故宮 書の名宝展」のように目玉に蘭亭序を持ってくるようなものや、中世の仮名を中心とした雅さを追うが、広がりに欠けるものなどが多い。
しかし、この展覧会は書家の枠と時代の枠に囚われず楽しませてくれる。
入ってすぐが、平櫛田中の「不老」だ。
六十 七十は はなたれこぞう
おとこざかりは 百から 百から
わしもこれから これから
辛亥春 百才 倬太郎書

百歳の時にあと30年分の材料を買い込んだといわれるだけの気概がほとばしる。しかし百歳の書というものを眼にしたのは初めてだ。
一休の上下鏡文字の「心法」、禅語では左右の鏡文字は良く見るが、上下はこれも初めて。
遊び心。

同じ一休の七佛通戒偈「諸悪莫作衆善奉行」は、ユーモアと無関係の破戒僧の一休が狂雲子の風貌で一気呵成に書き下す。

棟方志功の「妙真」も素晴らしい。
骨太の文字は、版画といわず板画で押し通した、棟方志功の野太い精神性が溢れ出している。

圧巻は開通褒斜道刻石の拓本だ。
大壁面で掲示された古隷の文字群は、そこだけが闇の中から揺らぎ起こるような2000年前の妖しい空気を醸し出している。

徳川家康の「日課念仏」
71歳の時に戦乱で殺戮した人々の弔いの為に、怪僧天海に勧められて始めたと言われるが、細字で一字乱れず繰り返される「南無阿弥陀仏」は家康の、執着性と不動性が滲み出ている。

その他にも、その名称もいとおしい国宝の古筆手鑑「見努世友(みぬよのとも)」や、伝西行の中務集、思いもかけぬ端正な仙高フ般若心経なども有り、書そのものというよりもそれを通じて見える人の姿に興が尽きない。
歩く、走る、登る、撮る、見る…畏れながら、
同じ仲間の気配が致します^^
「文字の力・書のチカラ」で検索してやって参りました。
皆さんの感想を拝見すると、新たな感動に出会えて嬉しいです。
TBと共に、拙ブログ記事内にこちらの記事のリンクを
貼らせて戴きたく、宜しくお願い申し上げます。<( _ _ )>
御訪問有難うございます。
この展覧会はとても優れものですが、ブログで書いている人が比較的少ないのは意外です。
特に書は絵画と違って、印象だけでなくある程度の知識も必要なので、あまり一般受けしないのかもわかりません。
しかし、この展覧会は色々な視点から楽しめる書が集まっていて、書の楽しさを知るために多くの人に見てもらいたい展示でした。
これからも宜しくお願いいたします。
いま、貴サイトを愉しく拝見しています。内容充実 見やすくて 良いサイトですね。これからも楽しみです、どうぞよろしく。
山桜さんのブログ「天地(あめつち)に遊ぶ」から寄り道しました。日本の書跡、古筆手鑑「見努世友」(国宝)も一度は拝見したいものです。
遊戯人のblpg「街道歩き」に道草してきます。
お立ち寄り有難う御座います。
関東は、今年は暖冬ですが北海道はまだまだ冬の最中でしょうか。
大昔美幌峠あたりをヒッチハイクで歩いて事がありますが、懐かしい思い出です。
景色はまだ変わっていないのでしょうね。
blogはあまり一貫性無く気まぐれに書いていますが、たまにお立ち寄り下さい。