その杉本の新作の「Lightning Field」展をギャラリー小柳で見る。
撮影と言う行為ではなく、高電圧の放電現象を意表を付いて直接フィルムに焼き付け、そこに一見シナプスか植物のようにも見まがう形態が出現する。


写真の裏に秘められたプロセスは、スリリングで面白いが、全く偶然性に委ねられた単に現象を可視化する行為は、芸術と言うよりは殆ど科学の範疇だ。
しかし、既に神話化しつつある彼の作品は、熱狂的なファンが多く、高額な金額で多くのものが売約済みとか。
魅力的且韜晦的な彼の話術に包められる人は、ますます増えているようだった。
今月末には杉本自身が庭と内装を設計したというIZU PHOTO MUSEUMがオープンし、「杉本博司―光の自然」展が開催される。
そこでは、Lightning Fieldの成果の一つを屏風仕立てにした六曲一双の「放電日月山水図」が展示されるという。
自身が手がけた空間で、自信の作を展示する訳で、見に行かない訳にはいかない。
世界文化賞発表の記者会見では何故か中曽根元首相の隣に座り、少し脂の抜けてきた中曽根に比して、杉本は益々妖怪めいて見えてきた。
