2014年01月30日

「内藤廣展 アタマの現場」

ギャラリー間の「内藤廣展 アタマの現場」に行ってみた。
少し前に新国立競技場についてのザハ・ハディドの案を擁護するかなり支離滅裂な発言で、諸事争論という感じになったが、まあ審査員としての立場だからノーコメントを貫いている安藤忠雄の老獪さに比べれば発言しただけでも良心的と言える。
勿論この展覧会はそのような事には触れることなく、いかにも優等生的なギャラリー間での二度目の展示だった。

「静岡県草薙総合運動場体育館」のプレゼンテーションにかなりのエネルギーが割かれている。
木材を多用する建築家の評判が定着してしまった内藤としてはやはり、この建物もその路線を踏襲している。
登呂の遺跡の住居を思わせるような外観を持つこの建物は、しかし規模は大きいが、あまり興味を惹かない。
同じ木材路線でも手を変え品を変えという隈研吾のスタイルとかなり違い、よく言えば実直で悪く言えば泥臭い。

20140129内藤廣展1s-.jpg


「アタマの現場」の一つとして、事務所の本棚、所長のデスク周りが再現されておりこれは、それこそ「頭の現場」で興味津々。
中川幸夫の櫻の書と、ピラネージのローマの地図が一際眼を惹くが、白川静の字訓、字統、常用字解があったのも印象的。石元泰博の写真集は納得だが、ベケットの「ゴドーを待ちながら」とかスーザン・ソンタグの書もあったり、ホーと思ったりする。

20140129内藤廣展2s-.jpg  20140129内藤廣展3s-  .jpg


中村好文展の時も、蔵書がかなり置いてあったが、拠って来るところを公開することはかなり勇気が要りそうだ。

ワンフロアー上には、過去の作品の模型や材料のサンプルが置かれているが、何故か代表作の茨城県の天心記念五浦美術館のものが見当たらない。
出世作の海の博物館の架構模型の隣に、島根県芸術文化センターの模型があり、実物は未見だがこれはもう空間構成から切妻のデザインから五浦美術館とそっくりで、最初はそのように誤解したほどだ。
二つは併置出来ないのも尤もだ。

20140129海の博物館模型s-  (2).jpg


実際に見た内藤の作品では、海の博物館を超えるものは無いように思われる。出世作が最良の作品というのは安藤忠雄と同じだ。

内藤の言う素形とは何だろう、写真家の中平卓馬に「原点復帰」という作品があった。
内藤の素形の更に原点は、きっと生まれ育った住宅で、それは勿論切妻で木造であるに違いない。

再現されたアトリエの本棚に、アタマの中を覗き込むような、眼の部分だけが切り取られた眼光鋭い写真がある、ピカソだろうか、そんな気もするがよく分からない。
常時この眼で、頭の中の原点を覗き込まれているのもかなり辛いが、原点からの逸脱も今の内藤には必要な気もした事だった。
posted by 遊戯人 at 19:30| Comment(0) | TrackBack(0) | 見る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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