極めつけのハレの空間である筈だが、常時は空漠として何故かここを歩く人は殆どおらず、一般車の通行は禁止されている。
ロラン・バルトが「表徴の帝国」で皇居を意味の欠如した東京の空虚な中心と呼んだが、そこへ繋がる道はあからさまにその輝く空虚さを暗示する。

行幸通りの地下はギャラリーとなっている。地上のハレの行幸通りに対して、元は駐車場だった地下のケとしての行幸地下ギャラリー。
無機的な長大な壁面で『東日本大震災 復興応援写真展 「3・11以前」』が行われている。
丸ビルと新丸ビルの間にあるにも関わらず人通りは極めて少なく、写真は寂しげだ。

失われた二度と戻らない光景の中の、笑顔の写真が時間を止める。

地上に戻ると、風に桜をあしらったFlagが揺れている。
日本の誰が、世界の誰に、何のために発信しているのか。主語も目的語もなく何処までも続く曖昧性。
震災への、外国からの支援に感謝するFlagと言うが。
さくらさくらさくさくらちるさくら

今年の春に、JPタワーとして竣工する東京中央郵便局。
保存された外壁に残る時計の見えない針は、2時46分を指している。きっと。


変らない日本、止まる時間。